トイレの水が「流れるけれど遅い」という状態は、まさに歯がゆいものです。完全に詰まっていないため、つい「もう少し様子を見よう」と思いがちですが、この段階でご自身でできることを試すことで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、流れるのが遅いトイレに対して、自分でできる具体的な対処法をご紹介します。 まず、最も手軽で基本的な方法は「便器内の水位を調整する」ことです。便器内の水位が高すぎる場合は、紙コップなどを使って少し水を減らしましょう。逆に、水位が低すぎる場合は、ゆっくりと水を足して、排水口が隠れる程度の水位に調整します。適切な水位にすることで、次に紹介するラバーカップが効果的に機能するようになります。 次に、トイレの詰まり解消の定番アイテムである「ラバーカップ(スッポン)」を使用します。ラバーカップを排水口にしっかりと密着させ、空気の漏れがないように押し込みます。そして、ゆっくりと押し込み、一気に引き抜く動作を数回から数十回繰り返します。この「押し引き」の動作によって、排水管内部に水圧の変化が起こり、詰まりの原因となっている異物が動き出し、奥へと押し流される効果が期待できます。ポイントは、引き抜く際に勢いよく行うことで、吸引力を発生させることです。 さらに、市販の「液体パイプクリーナー」も有効な手段の一つです。液体パイプクリーナーは、髪の毛や石鹸カス、油汚れなどの有機物を分解する成分を含んでいます。製品の指示に従って、適切な量を便器に流し込み、規定の時間(30分~1時間程度が多い)放置します。その後、大量の水を流して洗い流しましょう。ただし、パイプクリーナーは種類によっては、酸性とアルカリ性を同時に使用すると危険なガスが発生することがあるため、複数の種類のクリーナーを混ぜて使うのは絶対に避けてください。これらの対処法を試しても改善しない場合や、固形物を流してしまった心当たりがある場合は、無理をせずに専門業者に相談することが、安全かつ確実な解決への道となります。