築三十年を超える木造住宅にお住まいのお客様から、キッチンの水漏れ修理の依頼をいただいたときのことです。当初の依頼内容は単純な排水トラップの劣化による交換で、電話でお伝えしたキッチン排水トラップ交換費用も相場通りの一万数千円程度でした。しかし、現場に到着して驚きました。シンク下の扉を開けると、床板が腐食しており、排水トラップを支えるべき基盤が沈み込んでいたのです。長期間にわたる微細な漏水に気づかず、湿気が木材を蝕んでいた結果でした。このような場合、単に新しい排水トラップを取り付けるだけでは解決しません。なぜなら、トラップと排水管を接続する際の高さ調節ができず、再び負荷がかかって水漏れを再発させる恐れがあるからです。結局、この現場では床板の部分的な補強工事と、配管自体の位置調整が必要となりました。さらに、床下の配管を確認したところ、かつての基準で設置された細い鉄管が錆びて詰まっており、これも現代の規格に合わせた塩ビ管への一部引き直しが必要となりました。最終的な費用は、当初予定していたキッチン排水トラップ交換費用の五倍以上に膨らんでしまいましたが、お客様は納得してくださいました。もし今回、無理にトラップだけを交換して済ませていたら、数ヶ月後には床が抜け落ちるような大惨事になっていた可能性があったからです。古い家屋の場合、目に見えるトラブルの裏に、見えない構造上の劣化が隠れていることが多々あります。見積もりが予算を超えたとき、それが過剰請求なのか、それとも家を守るために必要な処置なのかを見極めるのは難しいものですが、信頼できる業者であれば必ずその理由を写真や現物を見せながら説明してくれるはずです。安易に格安料金に飛びつかず、家の現状を正確に把握することが、結果的には一番の節約になるのです。キッチン排水トラップ交換費用を安く済ませようとする試みは、確かな技術と適切な工具が揃っていて初めて成立するものであり、素人が安易に手を出すべきではないと痛感した出来事でした。
古い住宅のキッチン排水トラップ交換費用で発生した追加工事の事例